刑務所で友達はできるのか
出所してからよく聞かれることの1つに、
「刑務所で友達はできた?」
というものがある。
できてない、と即答するのだが、理由については過去エントリにも書いたように、基本的に気の合う人間と出会うことが圧倒的に少ないことがあった。
(過去エントリ「刑務所でサンプリングについて考えた」https://matsuketsu.hatenadiary.jp/entry/2019/01/27/184151 )
中には、塀の中で友達をバンバン作って出所後も遊んでいる連中がいたりするのだが、地元が同じだったり、罪名が同じだったりするケースが多いように思う。覚醒剤の使用とかね。
俺は国内の有名私立大学を中退してから密輸という重犯罪に走ってることもあり、一定の学歴、類似した犯罪、どちらを取っても比較的少数派だったので、なかなか会話が合うことがなかった。
ただ、最終的に刑期を務めた刑務所が半開放の半官半民施設だったため、他の受刑者とコミュニケーションを取ることが施設のコンセプトからも強く求められていた。
なので、表面上会話を合わせることはよくしており、その結果周りから仲良くしていると見られるケースは多々あったように思う。
だからといってその人たちと連絡先を交換して出所後も付き合おうという風に思うことは滅多になく、友達ができた、という感覚を覚えることもなかったわけだ。
ちなみにそういうことをすると、刑務所的には不良交友と表現され、仮釈放の取り消しに繋がる可能性がある危険行為だったりするので気をつけていた部分もある。
そんなこんなで刑務所で友達ができることはないし作ろうという気にもならなかったんだけど、っていうのもほんとにろくな人間がいないからさ、俺含め(笑)
ところが、こんな俺でも出所後に何度か元同囚に会っている。
帰住地である地元を歩いていたとき、前方から自転車を漕いできたおっさんが1人目の元同囚、
仮釈中に六本木で飲んでいたときに飲食店で会ったのが元同囚、
その元同囚が一緒にいたのも元同囚、
更に違う機会にまた六本木で会ったのも元同囚、
上京してから恵比寿のマンションを使わせてくれたのも元同囚、
SNSで俺を見つけて連絡を取ってきたのも元同囚、
大江戸線で横に居た若い兄ちゃんに声をかけられたらそれも元同囚、
というように、なんだかんだで出所後社会に出てから同囚に会う機会はかなり多かった。
そしてその人たちは尊敬できる部分もあったり、俺に好意を持ってくれていたり、何より見事に社会復帰をしているところからある程度信用ができる人たちだったりする。
かなり受け身な記述をしているけど、俺自身が様々な邂逅に対して積極的になったという事実も多いにあり、その人たちのおかげで今の自分があったりもする。
結果的に言えるのは、友達をつくろうとしていなくても、出所後に出会う人とは出会い、繋がりができるものなのだ。
自分が元受刑者だったこともあり、元受刑者を見る目には自信がある。
この自由な社会において、ともに苦しみ学んだ人たちと、その経験を酒の肴にしながら飲める時間というのは自分を見直すとてもいいきっかけになっていたりもする。
こんな楽しみ方、他の人にはなかなかできないので、意外といいものなのだ。
気づきましたか?
そうです。
友達ができているのです(笑)
ね(川≦° )